Beautiful Butterfly
***


「どうしたの?ぼうっとして。」


水槽の前にあるイスに腰掛け、花音は僕によく冷えた缶コーヒーを手渡した。


「ん?」


「ネオ、なんだか今日、ぼうっとしてる。」


ふいにそう口にした花音に、僕はハッとして

缶ジュースを飲む花音の横顔を見つめた。


白い喉を、ゴクンゴクンと動かし、目を水槽にやったままの花音……


「ぼうっと……してる?」


――そんなつもりはなかった。


けれど時折、こうして花音は僕の中の何かを察する。


僕の心の内など

何も見ていないようで


だけど、ふいに鋭い目で

僕の中の何かを見つける。



そんな花音に、いつもハッと驚かされてしまう。

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