猫の飼われ方
もう一度謝って大家さんの家に帰ろう……、バイトだって無断で休んでしまったのだから。
何から何まで、あの男の息がかかっていることが気に入らない。

幸い荷物は纏められている。
部屋数の多い豪邸だ、そう気付く人も居ないだろう。



廊下を出てみた。
案内されたとき、階段を見掛けた、こんなとこさっさと出て行ってやる。
そもそも誓約書って胡散臭い、父さんに似せたとかあいつに騙された可能性だって考えられるし。
人身売買だって犯罪だ、俺には俺の意思がある。
そうだ、警察に行けばいいんだ!


「何処へ行く。」


「見たらわかるだろ出て行くんだよ……大体、昌美昌美呼び捨てしやがって何様のつもり………………………………つもり………………………………………………………………………………………………………なんだよ。」

階段を降りていると、ちょうど俺を見下す角度でそいつは佇んでいた。
先刻より楽しそうなのは気のせいか。
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