光の先に…
ポタポタと血が流れていく。
だが、傷は浅そうだ。
その流れる血をレイムは小瓶に採った。
「こんだけあれば充分か。よし、お仕事一つ終り」
スタスタと明希達に背を向けて歩いていく。
…プツンッ
「わっ!」
「きゃっ!」
糸が切れたように二人の体が動くようになった。
解放され、ホッと息をつく明希達。それを見て、レイムはにこっと笑った。
「良かったっすねぇ、動くようになって…でも、その体とも今日でさよなら」
レイムが手を地面に付けた。
手の下から紫の怪しい光が溢れ出てきた。
「あれは、合成魔法の光!」
「ゴウセイマホウ…?」
「合成魔法は一つの魔法にもう一つの魔法を足して使う魔法のことよ。でも…この魔法は禁忌に触れるわ…!」
ゴゴゴゴゴと地響きが起こる。
バランスが取れなくなって、二人は地面に膝をついた。
「…我の命令に従い、合成せよ。シュライマ!」
地と闇が二人を飲み込んでいく。
おぞましい程の殺意だ。
視界が遮られていく。
意識が途絶える前にレイムの怪しい笑い声が聞こえた。
「バイバーイ」
…グシャ!
二人の意識は完全に途絶えた。
「兄貴、終わりましたよ」
「御苦労だったな。撤収だ」
「了解っす。キメラ共、帰るぞ!」
レイムとキメラ軍は飛び去って行った。
遠く彼方まで行った後、兄貴はゆっくりと姿を変えた。
「リルダの小娘、お前はまだ死なねぇよ。ここにお前がいる理由があるんだからな」
キメラではなく、鴉の姿になり、彼は飛んで行った。
「ま、精々この世界で足掻きながら生きろ。これからを楽しみにしてるぜ、小娘共…」
そこには彼の高笑いがずっと響いていた。