光の先に…
―…オイ、大丈夫か…?―
「(誰か、何かを言ってる…)」
―…き、明希っ!―
バチィィンッ!
突然、頬に痛みが走った。
痛みはジンジンと酷く、増していく。
「…。痛ぁぁーーいっ!」
明希は勢いよく起き上った。
「あ、よかった」
「レクシスッ?」
どうやら明希を叩いたのはレクシスのようだ。
明希は頬を抑えながら、安堵しているレクシスを見つめた。
レクシスは酷く泥だらけになっていた。
「やるなぁレクシス」
ケラケラと笑うハコン。
「笑い事じゃないよ。…ってなんでいるの?」
「明希、ハコンが私達をあのニワトリ頭の魔法から助けてくれたのよ」
「そうなのっ?!」
レイムの魔法は一瞬にして、明希達を飲み込んだ。
あんな一瞬に助けられたとはかなり凄い。
明希はハコンはかなり腕の立つ魔法使いなんだと思った。
「あとチョイ遅れてたら、二人ともあの世逝きだったぜ」
危ない危ないと言いながら笑うハコン。
明希は逆にその笑顔が怖かった。
すると、少し遠くからレクシスの父の声が聞こえた。
レクシスの父は明希達の近くに来ると、二人まとめて抱きしめた。
「わっ!泥!泥ついちゃうよ!」
「明希の言う通りよお父さん!」
「いい、いいんだこれくらい。あぁ、二人が無事で本当によかった」
レクシスの父は涙を流しながら、二人を強く抱きしめた。
相当心配していたのだろう。
レクシスはそんな父の姿を見て、優しく微笑んだ。
明希は自分は昨日会ったばかりの他人なのに、こんなにも心配してくれた事が本当にうれしかった。