初デートは二人きりで?
「こんなけ悲惨な目に遭っときながら、今まで我慢したったんや。最後くらい邪魔したらな気ぃすまへん!」


「はぁ!?」



そう言って立ち上がった安西を、驚きながら見上げる。



…な、なに、コイツ。

初デートの最後を邪魔するとか、空気読まなさすぎ…。


…なんて思ったものの。



「いいねー♪私も夏輝のことからかいたいし!」


「はぁぁ!?」



そう言うと、さゆりまでもが乗る気になって。


あーだこーだと話し合いを始めた兄妹を眺めながら、私は小さく溜め息をついた。


窓の外には近づいてきた地面と、二人並んで歩く、小さなシルエット。



…いつか、私の隣にも誰かがいてくれるようになったらな…。



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