アフター・スクール


和泉はゴホンといういかにもわざとな咳払いをし、座椅子の上に正座になった。
それにつられてあたしも正座になる。


「真剣な話というのは、実は僕の進路についてです」
「ほうほう」
「春のうちは地元の、あのつまんない高校に進学する予定でした」
「ああ、つまんないよね。人少ないし」
「そんでそんで、こちらにも事情ができましたんで清明狙おうかと思う」
「あーあー清明ね、いいんじゃない」


へー和泉が清明かー、頑張ればいいんじゃない?


「……って清明!?」
「そう清明。小鳥遊と一緒」
「点数とか足りてんの?」
「んー80ぐらい足りない」


和泉はペットボトルの水を飲みながら、へへっと笑って見せた。
……笑ってる場合じゃないと思うんですけども。


「じゃあ、どうすんの。超頑張らなきゃ駄目じゃん」
「そこでよ、小鳥遊くんに助けてもらおうと思いまして」
「あたし教えるのヘタだよ」
「そこは承知の上でございます」
「うわーなにそれー萎えるー」


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