雪女
「そんなことないよ」
『え……?』
堀河の言葉に顔を上げる。
『――なッ!?』
上を向いた時、堀河に抱きしめられた。
『…ちょっ!?』
彼氏ない歴=年齢のあたしは、当然キスどころか抱きしめられた事も無いので……完全に"パニック状態"。
「滝沢は怖くないし、気持ち悪くもないから!!」
『―――‥』
《怖くないし、気持ち悪くない》
あたしはその言葉が嬉しくて、抱きしめられているという今の状況を忘れていた。