世界から僕が消える瞬間【完】
ボクはなにもしていないのに。



 ここしばらく、ヘレーヌおじさんからもらえていたパンも、会ってないからもらえない。お腹が減って力もなくなってきて、足元がふらつく。




 街灯に雪が積もり始めたとき、寒いなあと思ったら身体の毛が薄くなっていることに気がついた。



……寒いよエレクトロニー。ボクをおいてどこへ行ったの?



 橋の下にいても寒いだけだと知った。街をフラフラと彷徨ってみるものの、声を掛けてくれる人はいなかった。



……寂しいよエレクトロニー。



 雪の積もった道の隅で、ちょうどいい穴を見つけた。


雪を掘っただけの小さな小さな穴で身体は半分くらいしか入らなかったけど、少し暖かい気がした。
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