世界から僕が消える瞬間【完】
雪に身体を埋めてみる。



……冷たいけど、気持ちいい。



篭った空気が体温で暖かくなってく。



手足の感覚が徐々に麻痺し始めている。


朝にはきっと、ボクの――野良犬の、哀れな死体ができているんだろうな。



それをどこかの施設の人が処理場に持っていくんだろう。



ボクが死んだところで気に留めてくれる人なんていないよね。



……エレクトロニー、ボクもう駄目な気がするよ。



 全身が震えるわけでもなく動かない。意識が遠のくわけでもなく声が出ない。



目に映し出されるのは、黒くどんよりと立ち込める、四角く切り取られた重たい雲だけ。



死ぬのかな。ねえエレクトロニー、ボク死ぬのかな?

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