世界から僕が消える瞬間【完】
さようならかもしれないよエレクトロニー。
結局、君がどこにいるかわからなかった。
君に、もう一度でも会いたかったのに……。
生きて会うこともできなくなるなんてボク、惨めだね。でもね? エレクトロニー。
ボクが死んでも君はそれを知らないままで生きていくんだろうね。
誰も悲しんでくれる家族はいない。……野良犬らしい末路だ。
視界が狭くなって、野良犬ロコルは目を閉じた。
またね、エレクトロニー。
ロコルの鼻先に積もり始めた雪が、体温で溶けることはなくなった。