3つのナイトメアー
った。人から言われなくても机に向かってコツコツと勉学に励む華代のこと
を、恭子は、どうせ田舎の女の子が頑張って勉強したところで、たかが知れて
いる、とどのつまりは、女は夫次第なのにと、負け惜しみ半分に心の中で軽ん
じてきたのだった。
年に一度、正月に帰省すると、祖母の家に集まった大人たちは、恭子のこと
を都会育ちの可愛らしい子だと称えて大切にしてくれた。しかし、いとこや近
所の子供連中からは、こまっちゃくれた嫌な子だと、いじめられたり無視され
たりした。そんな時、華代はいつも恭子のことを庇ってくれ、田舎で唯一気の
許せる女友達だった。恭子はずっと華代に支えられてきたのだ。しかし、あく
までE県という土地は、恭子にとって、数日間だけ異次元へタイムスリップし
たという感覚の、軽い存在でしかなかった。そう、あの時までは。
あれは、恭子が小学生低学年の頃だった。