3つのナイトメアー


くないほど大事にしてるんですもの。貴之はその宝物に手をつけたのよ。私、


これから先、主人の実家に顔向けできない。こんなことになるんだったら、紹


介なんかするんじゃなかった」


 最後は遠慮がちな菊代おばの声。


「あの~、一言、智さんに言ってもらいましょうか?」


 すかさず、富美伯母が、今さらといったようなうんざりとした声で言った。


「ああ、智兄さんなんて、一方的に貴之の味方をするに決まってるんですも


の。駄目よ。でも、美保子さんも、普通だったら浮気されたら帰る場所は自分


の実家でしょうが。なのに、こっちに帰ってくるなんてあてつけかしら? し


かも、貧乏学生じゃあるまいに、着古したTシャツとGパン姿で髪もボサボサ。


あんなんだから、益々貴之の心が離れていっちゃうのよ」


 祖母がおろおろしながらたしなめる。
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