3つのナイトメアー


ったばかりのワンピースがしっくり自分に似合っていることに、美樹は満足


そうにうなずく。浅見麻衣が自分のセンスを誉めてくれる様を思い描きなが


ら、美樹は、娘の彩乃を連れて浅見麻衣の待つ高級住宅地へと向かった。


 彩乃も、浅見麻衣の娘、麗奈も、同じ小学校に通う五年生である。今年、


PTAで同じ役員になったのがきっかけで、美樹は、浅見麻衣と親しく話をす


る間柄になった。浅見麻衣は、都内に大規模なレストランを数店舗経営する


夫を持つ社長夫人だ。最近の不況の影響で客足が引いたと、麻衣自身は言う


が、大手企業勤務とはいえ、サラリーマンの美樹の家庭からみれば、羨まし


くなるような暮らしぶりだ。生まれ持った美貌の上に、贅を尽くした磨かれ


たセンスと身のこなしで、ゴージャスオーラの溢れる麻衣自身のことを、美


樹は以前から知っていて、初めて声を掛けられた時は、誇らしい気持ちで一


杯になったものだ。親しくなるにつれ、麻衣の、お金持ち婦人特
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