3つのナイトメアー


りながら必死に懇願した。


「嘘、嘘、嘘~! ねえ、お願い、私を痛めつけるための嘘だと言って」


「気の毒だけど事実よ。でも、このことは圭には言ってないから安心して。あ


んたのためなんかじゃないわ。辛い星の下に生まれたあの子を、これ以上傷つ


けたくないからよ。貴之伯父さんは、優しくて上品で知性的なのに、どこか青


年っぽさを残した男性的魅力もある素敵な人だったわ。才能があって仕事もバ


リバリこなして、みんなに愛されてた。でもね、こと女性に関してだけは、人


が変わったかのようにだらしなかった。身内があんたにだけ内緒にしてたんだ


けど、あんたのお母さんの美保子おばさんも、あんたを生む前に学生時代一


度、伯父さんとの間に出来た子供の中絶経験があるの。あんたがお腹にできた


時、二度も中絶させたら母体に悪いからって、お情けで渋々結婚したらしい


わ。だから、伯父さんがもっと悪人に徹してたら、あんたは生れて
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