3つのナイトメアー
貴之伯父さんが、いくら女性に対して不誠実であっても私には関係ない。今で
もこれから先も、ずっと大好きだわ。その人が残してくれた大切な宝物の圭
を、あんたなんかに絶対渡さないわよ」
恭子の耳には、もうほとんど華代の声は届かなかった。ふらふらと歩きだし
た恭子を、華代は後ろから抱きかかえながら、声をひそめて言った。
「恭子ちゃん、私は父の弟である伯父と、あんたは腹違いの弟の圭と交わると
いう、神をも恐れぬ不義密通のタブーを犯したのよ。汚らわしくて忌まわしい
ことだわ。伯父と兄弟とじゃ、あんたの方が罪が重いんだけど、平等に罰を受
けて裁かれてあげるわ。いい?」
華代はいつの間にか用意していた二つのグラスに、ペットボドルに入ったミ
ネラルウオーターを注いだ。そして、片方のグラスにだけ、白い粉を混ぜて溶
かした。素早い動作で何度も交互にグラスを入れ換えて叫んだ。