3つのナイトメアー


「今入れた粉は青酸カリよ。フフフフ。さあ、いよいよ運命の分かれ道ね。私


達の二人のどちらか幸運な方が、圭とこれからを過ごすチャンスが与えられる


の。運に見放された方は、潔くあきらめて天国から二人の行く末を見守る。そ


れが、神が私達二人に与えられた贖罪なのよ。さあ、あんたから先に、どちら


か一つを取って飲み干すのよ!」


 狂ったように目をぎらつかせながら、華代はこの瞬間のために生きてきたか


のように、グラスを両手に恭子にせまった。事実を知ってしまった恭子は、圭


の前に二度と姿を現すつもりはなかった。しかし、自分の犯した罪は重すぎ


て、ずっと十字架として背負っていく自信がなかった。命をかけることで心の


枷がとかれて、少しでも許されるならと、恭子は少しずつ手を伸ばしていっ


た。そして、とうとう死人のような目でグラスの一つを選んだ。華代が、目で


それを飲むように促すのに従い、一気に飲み干した。華代も同時に残り
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