3つのナイトメアー


僕は必死になって追いかける。ぼくちんとは、クラス内でつけられた僕のあだ


名だ。陰気で顔の目立つ箇所に痣がある僕は、いじめのターゲットにされてい


た。いつも庇ってくれるあきらが、今日に限って動こうとしない。その時の僕


は、あきらが他の奴らに、背後からはがいじめにされていることに気がつかな


かった。とうとう携帯が空を舞ったのを、僕は飛びついて摑もうとしたが、そ


れは虚しくも屋上のフェンスを越えて落下していった。同時に、僕も手を伸ば


したままの無様な姿で落ちていった。




 
 体中が痛い。どうやら死んではないようだ。校舎の屋上に向かって突き出た


大きな木の枝に僕は重なっていた。奇跡的に大した怪我は負ってない。ほっと


安心したのもつかの間、惨めさが
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