3つのナイトメアー
ちていった。咄嗟のことに、なにが起こったかわからないような唖然とした表
情を、僕の脳裏に焼き付けたまま。
僕と違って、地上に生身の体を叩きつけられたあきらは、脳の半分を露出さ
せて死んだ。
二〇一一年。
朝、斎藤家の長男、篤が起きると、ダイニングルームの出窓のガラスが割ら
れ、辺りに破片が飛び散っていた。フローリングの床には、砂の付着した白い
足跡が残されており、明らかに夜中に何者かがよそから侵入した様子だった。
「泥棒だ!」
篤の叫び声に、昨夜の深酒が完全に抜けきってない寝ぼけ眼の母の小雪も、
次第にことの重大さにうろたえ始めた。