3つのナイトメアー
どシャネルですの」
小雪は、聞かれてもないことまで自慢そうに答えてから、わざと甘ったるい
声でしなをつくりながら、刑事に懇願した。
「それより、二十万円は戻ってくるんでしょうか? 刑事さん、早く捕まえて
取り戻して下さいな、お願い」
ブランドで飾りたてて金があり余ってる風なのに、なおも盗まれた金銭に貪
欲に執着する小雪に対して、刑事は嫌みがかったニュアンスを込めて言った。
「犯人はお金に困ってたから、ガラスまで割って侵入したんですよ。ギャンブ
ルとかで首が回らなくなって、家族からも見放されて切羽詰まってたんでしょ
う。お金は、もうすでに使いはたしてると考えた方がいいですね」
「うっそ~、酷い~」