3つのナイトメアー


見せたかったからじゃないですか?」


「何を根拠に、オレがそんなことを。馬鹿馬鹿しい」


 石井が嘲笑うのを無視して、山本は続けた。


「オレは一つの仮説をたてました。篤は、小雪が防犯ボタンをロックしたのも


知らず、外部から犯人が忍び込んだように見せるため、わざと外からガラスを


割っておいてから、何らかの理由で憎んでいた母親を刺した。そして、その篤


を、あなたが刺した」


「そんな戯言、誰が信じるか!」


 普段の冷静沈着さから一転して、顔を歪めながら吐き捨てる石井に、山本は


憐れみを含んだ眼差しを向けながら言った。


「理由はあったんです。あなたは、オレに内緒で再度この斎藤家を訪れてます


ね。普通、刑事は、犯人
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