3つのナイトメアー


り、オレの中でずっと封印してきた、不当に死んでいったあきらへの思いが、


復讐心となって頭をもたげた。小雪は、あの女は、オレの顔など全く覚えてな


かった。あの時、自分の息子のせいであきらが亡くなったというのに、謝罪に


も来なかったものな、当然だ。自分がオレから家族を奪ったことも忘れて、ま


あそんな意識もなかったろうが、こともあろうにオレの気を引こうとする小雪


に、心底憎しみを抱いたオレは、この女に自分と同じ苦しみを与えるべきだと


思った。この女を、我が子を失った絶望のどん底に突き落とすため、あきらの


仇でもある篤を殺すことにした。君を差し置いて再度訪問した時、こっそりこ


の家の鍵を粘土で型どって、いつでも忍びこめるように合鍵を作っておいた。


窃盗目的の外部犯行に見せかけて殺す機会をうかがっていた時、
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