3つのナイトメアー


山本、お前なんかに、子供を殺された親の気持ちが分かってたまるか!」


「いいえ、オレのようなものでも、あなたの悔しさ、良くわかります。ずっと


独り身を通してきた理由もそれだったんでしょう。でも、罪は罪です。きっ


と、天国のあきらくんも復讐など望んでなかったでしょうに、オレはあなたを


逮捕しなければならない。それが残念でなりません」


「山本、お前はいい刑事になれよ」


 石井は、力なく微笑んで、部下の肩をたたき、自ら署へと誘導した。






 その頃、斎藤篤は、救命センターで最後の命の灯をともしていた。彼は、苦


しい息の下、心の中で必死に石井に訴えかけた。


「刑事さんが、あきらのお父さんだと知ったのは、一人で僕等の家に訪ねて
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