3つのナイトメアー



 篤の頬に涙が一筋伝わったのと同時に、心臓が停止した。彼の体から魂が抜


け出して、親友の待つ天国へと旅立った。






 すすけたどす黒い顔の老人が、自分と同じような古びた店の中で、一人つぶ


やいた。


「やれやれ、今回のゲストは、もう一度チャンスをくれなどと、聞き分けのな


ことを言わず、潔く死んでいきました。若いのに、なかなか立派な行いです。


彼は、なんのかんの言っても、根本は母親のことが好きだったんです。だか


ら、構って欲しくてたまらなかった。そんな存在意識が、彼の中で屈折して、


いじめといった形になった結果、悲惨な事故を招き、被害者の父親から
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