3つのナイトメアー
終章
終章
「やっと終わった」
老人は、目を閉じ万感の思いで、あの不幸な日のことを振り返った。
老人は、最愛の妻と、郊外の路地裏で骨董店を営んでいた。子供が独立して
から二人でヨーロッパを巡っては、好きな西洋の装飾品や調度類を収集してい
たのがきっかけで、趣味程度で出した店だった。それが、予想外に良い常連客
がつき、そこそこの利益をあげた。
そんなある日、老人夫婦に、想像もつかないような悲劇が訪れた。風邪気味
の妻を気遣い、早めに店をしまおうとしたその時、突然一人の若い男が押し入
ってきた。男は、冷酷無慈悲に老夫婦を縛り上げ、ナイフをちらつかせながら
金を要求してきた。老人は、店の売上金を全て男に差し出し、必死に命乞いを
した。男は、老人から奪った札束をポケットにねじこんで、もっとあるはずだ
と凄んだ。老人が、