3つのナイトメアー


見舞いを口実に家にやってきた時の律子の恐怖と絶望感は、どれほど大きかっ


たことか。麻衣は言うがままに連いてきた律子を、河川敷の堤防へと誘いだ


し、猫が鼠をいたぶるように、氾濫した水の中に突き落として殺した。理科の


先生に大やけどを負わせたのが自分だとばれんように、律子の口を封じたん


や。うちは、その時初めてそう確信したが遅すぎた。日記が出てきても、とっ


くに事故死として処理されてたし、これだけでは、あくまでうちの推測ってこ


とで、律子殺しの完全な証拠にはならん。うちは泣く泣く諦めるしかなかっ


た。その代わり、麻衣のことは徹底的に調べ上げた。麻衣は、なんと自分が火


傷を負わせた先生のフィアンセやった人と結婚して東京にいた。この怪しい因


果関係に、うちは益々麻衣に対して疑いを深めた。しかし、どうしていいか分


からず、いたずらに時間だけは過ぎた。そのうち、うちも結婚して、慌ただし


い日常の中で、次第に律子の不条理な死への
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