3つのナイトメアー


面倒までみてたんだから、セレブとは程遠い生活だった。精一杯努力しても、


生まれつきの貧乏はついてまわるんだと、自分の生い立ちを恨んだわ。でも勝


気なあたしは、そんなことはおくびにも出さず、学校では明るく快活に振る舞


い、生徒の教育にも力を入れたから、若くして人望も厚く、麻衣先生って一目


おかれる存在だったわ。


 律ちゃんの担任の理科担当の美咲先生はね、あたしの三つ後輩の二十四歳


で、おっとりとしたあどけなさの残る少しやぼったい女だったわ。世話焼きの


あたしを慕って、よく悩みなんか相談してきたわ。大概が、取るに足らない、


たわいもないことだったけど、親身になって聞いてあげてたから、あたしと美


咲先生は、回りからは親しい同僚として映ってたんでしょうね。そんなある


日、美咲先生がね、あたしにだけ内緒の打ち明け話があるって、放課後の理科


室に呼び出したの。少女のように頬を赤らめながら言ったわ。最近、美咲先
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