3つのナイトメアー


生はお見合いして、結婚が決まりそうだって。相手は、東京にいくつかのチェ


ーン店を持つ、有名飲食店経営の若手実業家だって。幸福そうな美咲先生の顔


を見て、嫉妬で頭が燃え上がりそうになったあたしは、平常心をとりつくろう


と、必死の作り笑顔で、おめでとうと言った。あたしが心底祝福してると勘違


いした美咲先生は、いかにその婚約者がお金持ちで優しいかを、のろけはじめ


た。あたしは、腸が煮えくりかえる思いだった。美咲先生なんて、お里がしっ


かりしていることを除いては、何一つあたしに勝るものなんてないんですも


の。あたしは美咲先生なんかより、学歴も上だし、容姿だって遥かに華やかで


洗練されてるわ。いい教師であり続けるために、努力だってたくさんしてる。


でも、方親だけの、これといった立派な係累のないあたしには、そんな玉の輿


のような縁談なんて、これから先も永久にこないわ。あたしは、うんとお金持


ちになって、幸せになりたかった。それに
< 64 / 208 >

この作品をシェア

pagetop