3つのナイトメアー


にふらふらとさまよい、電車を乗り継いで、気がついたら、昔よく来てたデパ


ートにたどり着いてた。着飾って笑いざわめく女性客に押されるように華やか


な店内に入ると、不思議と懐かしさに心が和んだ。


 とりあえず、このお金でお買い物をしよう。嫌なことは全部忘れて、パ~と


楽しむんだ。今まで何年も我慢してきたんだもの。そのくらい許されて当然


よ。


 あたしは、顔を上げ胸をそらして堂々と、店内でも一番きらびやかなセレブ


が集まる場所、シャンネル店へと入っていったわ。そこは、最高級のアクセサ


リーやバッグやお洋服で溢れた夢の空間。ああ、なんて素敵なの! ここにあ


る物全てを手に入れたいわ。あたしは、次から次へとかぶりつくようにして、


商品を眺めていったの。


「お客様、本日はどういった物をお探しでしょうか?」


 ぎくりとして振り向くと、声だけは慇懃無
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