3つのナイトメアー


 そうだっけ? ああ、確かここは、金に糸目をつけない有閑マダムだけに許


された別世界。桁が一つ違ってたんだわ。でも、確かに今はこれだけのお金し


か持ってないけど、あたしくらい美貌と才気に恵まれてたら、すぐに幾らでも


お金を投資してくれるスポンサーが現れてよ! 


 あたしは、目の前のラックにかけられたドレスを一枚摑んで下ろし、両手に


広げながら叫んだ。


「これをいただくわ。三万は前金ということで、後は分割にしてちょうだい。


すぐに、まとめてお支払いできると思うけど」


 あたしは自信たっぷりに言ってやったわ。するとスタッフは、抑えていた笑


いが堪えきれなくなったみたいに、プッと吹きだしながら言ったの。


「お客様、当店でのお支払いは全て一括性ですの。分割払いは承っておりませ


ん」
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