3つのナイトメアー


社に勤める父の貴之は、東京の有名国立大学を出たインテリの上、いつも颯爽


として人当たりもよく、ずっと恭子の自慢だった


 恭子は、目黒の都心のマンションで、教養ある優しい両親に囲まれて、中流


以上の幸せな生活を送ってきた。そんな恭子が、子供の頃に強く心に残る思い


出といえば、毎年正月に繰り返される、父の故郷であるE県N市への家族三人


の帰省であった。祖父は早くに亡くなっており、その頃六十代だった祖母、父


の兄の智伯父さん、その妹で父の姉にあたる富美伯母さん達は、皆ずっとE県


に在住しており、父だけが大学に入学したのをきっかけに、ずっと東京に住ん


でいた。



 年に一度訪れる、東京からずっと離れた四国に位置するE県は、恭子にとっ


て、あまりにも日常からかけ離れた異端の地であった。正月の三が日寝泊まり


する、祖母の家のお手洗いは、当時現在では滅多に見られない落とし式で、そ


れは恭子にとって草むらで用をた
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