3つのナイトメアー
すくらい苦痛で、最後まで慣れることはできなかった。薪で炊いてお湯を沸か
し、釜の下に木の板を沈めて底にする五右衛門風呂というのも、中に入るとそ
のまま茹でられそうな気がして恐ろしかった。畳敷きの部屋がいくつもある、
じめじめとしたカビ臭くてだだっ広いだけの、その木造平屋建てには、祖母
と、長男である智伯父さんの家族が住んでいた。銀行に勤める智伯父さんに
は、妻の菊枝おばさんと、あきらと華代という子供がいた。
恭子より五つ年上の華代は、女のいとこ達の中では一番の年長だったせいか
世話好きで、真っ先に恭子と打ち解けた。その頃は、華代がその後の自分の人
生に大きく関わってくることも知らずに、恭子は帰省したほんの短い数日間、
華ちゃん、華ちゃんと呼んで、後ろにくっついて歩いた。就学前の幼い子供の
くせにおしゃまだった恭子は、よく華代に尋ねた。
「ねえ、なんで華ちゃんは、そんなオカッパ