3つのナイトメアー


シャツとを見比べた。お古、しかも男兄弟の服を平気で着さされている華代が


憐れであり、滑稽でもあった。お洒落な恭子の父貴之は、子供の頃から美的感


覚を養うことが大切だと、デパートで値の張るハイセンスな輸入ブランドの服


を買ってきて、彼女に与えていたからだ。一人娘の恭子は、父にとって、目に


入れても痛くないくらい可愛らしい着せ替え人形だったのだろう。昔かたぎの


頑固親父で、仕事もお堅い銀行員の智伯父と、女性の扱いに慣れた、優しくソ


フトな印象のマスコミ関係の父は、容貌も性格も両極端だったが、なぜか非常


に仲の良い兄弟だった。智伯父は、十歳以上も年の離れた父を溺愛していて、


早くに亡くなった男親の代わりに、大学の費用も負担したときく。それに見合


うくらい優秀な父のことが、智伯父は誇りだったのだろう。


 見栄っ張りな智伯父は、子供の教育にも厳しく、華代も女の子だからといっ


て容赦しなかった。そのせいか彼女の成績は抜群によか
< 99 / 208 >

この作品をシェア

pagetop