転校生くんと私。



「えっと‥」
本屋についたとたんずっと欲しかった新作の小説を探した。

なかなか見つからない。

「うーん‥あ、あった!」

見つけた!しかも、最後の一冊!
さっそく手にとろうとする。

「っ!?」

誰かと手が重なった。

ちょ、待った待った待った。
こ、これって小説でも漫画でもアニメでも、
よくある運命の出会い的な?
顔をあげて手が重なった相手をみると、超イケメンみたいな?
やばいやばいやばい。
な、なんか変に緊張するよ/
そんなことを一瞬のうちに考え、僕は顔をあげて手が重なった相手を見た。

「あ、あの!すいませんっ」
そう言いながら。

「?」
手が重なった相手は、男の人だったけどダボッとしたパーカーを着て、フードと前髪でよく顔が見えなかった。

さすがに運命の出会いとかはないか‥。

「あの‥、これ‥どうぞ?」
相手の人が黙っているので僕は小説を相手の人に渡した。

「い、いやいや、いいよ お前に譲るよ」

男の人がへらっと言った。

お、お前!?
初対面の人に、お前って言う!?
なんだか機嫌が悪くなりつつ、

「いえ、いいです。どうぞ。」
「だから、いいって。どうぞ?」
「いいですって!」
「いいって!」
「いいですって!」

しばらく言い合いが続いた。
すると

「ぶっ」
「???」
突然男の人が笑った。というか、それから爆笑。

「はははははっ」

大きな口をあけてお腹をかかえて。

「なっ、何がおかしいんですか!?」
僕はもっと機嫌が悪くなった。

「わりぃ、わりぃ」
と言いながらまだ笑っている。

怒りMAXな僕は、
「これ、あなたに譲りますから。」
と言って本屋を出た。

「あ、ちょっと待って!」
彼はそう言っていたが僕はすたすたと家へ向かった。


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