二人三脚〜戦争の日々〜
そして、
お迎えの時間。

「梓ちゃんまた明日ね〜」
「先生さよなら〜」
と次々みんなが帰る中で
私とひなだけ
まだ帰れない。
まだママがこない。

ひなが半ベソをかきながら
「ママこないね」
「みんなもう帰っちゃったね」
と話していると。

「梓、ひな遅くなってごめんね」
と言う言葉が聞こえて、
私とひなが
「ママ〜!!」と
保育園の玄関に
走っていくと
玄関にはママじゃなく
当時まだ小学生と中学生だった
お兄ちゃん。

「遅くなってすいません。
梓もひなも帰ろう?」
と手を差し延べるお兄ちゃん。

ひなが
「なんでようちゃんなの(兄)?なんでしょうちゃんなの(兄)?なんでママじゃないの?」
と目にいっぱいの涙を溜めて
その場に座り込んだ。

私も本当は泣きたかった。
でも小さいなりに
お姉ちゃんなんだ!と思っていて
泣けなかった。

< 4 / 13 >

この作品をシェア

pagetop