僕と天使が見つけたもの。
そういえば昔から思っていることが口から出てきちゃってよく和沙に怒られたなあ。
あんたはお世辞を知らないの!?って。
すっかり忘れてた。
会えるのはいつも夢の中だけだから。
笑っている和沙には、苦しまないと会うことができない。
ネクタイを掴む指が震えた。
「……………カズサ、さん?」
「えっ!?」
月影先生の声に、肩が無意識に揺れた。
どうして和沙のことを月影先生が?
驚きと戸惑いを隠しきれない。
聞きたいのに息が詰まって声も出ない。
「泣きながら、ずっと呼んでた」
「そ、ですか……」
ああ、また泣いたのか。
だから起きた時に頬が濡れてたんだ。
「ミチルが気にかけるワケだ…」
―――――ミチル
きっと、あの人の名前だ。
小声で呟いた月影先生の台詞を頭に刻み込んで、今度はちゃんとネクタイを結んだ。
明日、また屋上へ行こう。
そんな決意と一緒に。