僕と天使が見つけたもの。
「………あ、ぁ」
目の前にいる、女の子は、ダレ?
茶髪のふわふわしたショートヘア
大きな二重の人懐っこそうな瞳
それは、まるで、
「星夜?大丈夫か?」
あの夏に、戻ったような感覚。
(星夜……星夜……)
彼女が僕の名を呼ぶ。
「か、ずさ……」
ひぐらしの声と、
赤い夕方の太陽と、
信号機の赤と、
それよりも紅いモノが広がって
じっとりと濡れるアスファルト。
僕の隣にいたはずの彼女は……
和沙は、大切な大切なヒトは、
「あ、ぅ……ああああああああっっ!!!」
壊れた人形のような、
関節がありえない方向に曲がった身体。
光の無い目。
人間の、命が消える瞬間。
大切なヒトが逝ってしまったその側で
「星夜!?おい、星夜っ!」
「やだああぁ!!!行かないで、行かないでよ、かずさあああっ!!!」
僕は、何もできずに、
一人を何よりも嫌った和沙が一人になる瞬間を見ていることしか出来なくて。
世界中が真っ赤に染まって、
わからない、和沙、和沙、和沙
君は何処にいるの?
会いたい、会いたいよ。
ひとりにしないで。