僕と天使が見つけたもの。

ネクタイを結びながら、ふと考える。
前の学校は学ランだったからネクタイは上手く出来なくてよく委員長に笑われる。
ネクタイとおんなじくらい、頭の中はぐちゃぐちゃだ。

あの人は、誰だったのか。
どうして僕は保健室にいるのか。

あの人は、どうして泣いていたのか。

「あの、月影先生…」

「ん、どうした?」

「僕を保健室まで運んでくれたのって」

「ああ、俺だよ」

書類をパラパラ捲りながら平然とした顔で言う月影先生と、ますますわからない僕。

気付けばネクタイはぐちゃぐちゃで、結び直さなきゃいけなくなっていた。

「知り合いが電話くれてさ」

「あの、もしかしてその人」

あの女の子、なんですか?

「あー、カップ洗うの忘れてたわ」

言葉を遮られて、話を逸らされた。
月影先生は……何か隠してる。

「隠してなんかないよ」

「っ!?」

なんで心が読めるんだ!?

「………口に出してるからね、それ」
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