シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「櫂。『気高き獅子』としてよく考えなさい。これはあんただけの問題じゃないの。皆の生命に関わることなの。あたしの心配してくれるのは嬉しいけど、公私混同しないで」


びしっと、あたしは言った。


伝われ。


「煌も桜ちゃんも…こんな姿にさせておいて、行き着けませんでしたなんて最悪の情けない結果にしないで。頑張ってる皆の想いに応えて」


伝われ。


これは――



「櫂。あんたが勝って、あたしを迎えに来てよ。ね?」


あたしは笑った。


これは――

今生の別れではない。


だからそんなに、絶望に満ちた目をしないで。


あたしだって、闘うから!!!


「いやいやいや~久涅ちゃん。勇ましい女の子だね~。ははは~。まるで紫茉ちゃんみたい。この子に興味を持ったから、先刻の女の子達に手を出さなかったんだ~。久涅ちゃん、支配欲に火がついちゃったんだ~」


にやにやと揶揄する周涅を、久涅はふっと笑って。


「小娘。お前が逃げたらどうする?」


あたしに向き直る。


「ははは、何の力も持たない無力なあたしがどう逃げられるって? 心配なら…煌も一緒につけなさいよ。煌は…そこの赤銅の術内で、櫂を庇って…狂気にやられて帰ってこない…」


場はしんと静まり返っている。


お願い。

何も言わないで、真実を。


これはあたしの…一世一代の大演技。


「出口を何で作っておかなかったのよ、あんたッッ!!!

煌を…煌を生き返らせてよ!!!!」


あたしは周涅を睨み付ける。


よし、涙が出た!!!


瞬き我慢していて良かった!!!


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