シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「…紫茉ちゃん、気をつけて!!!」
少女に顔を向けて叫んだのは、芹霞さんで。
この少女が――
…"シマちゃん"なのか。
そして――
「紫茉紫茉、鏡見ろ!!!
蝶が今度はお前に!!!」
「きゃあああ紫茉ちゃん!!?」
少年と芹霞さんが叫ぶのがほぼ同時で。
突如――
風が吹いた。
自然に発生した風ではない。
この強大な気の流れ。
明らかに何かの意思を持った、鋭い刃のような風。
櫂様だ。
櫂様から発光した緑色の風が、シマという少女に螺旋状に絡みつき、そして一気に…波動状に力が放出される。
その一瞬。
櫂様の緑色が、何かの姿を露わにしたが…それは刹那の出来事、見極めることは困難だった。
周囲は混乱に満ちていて。
こんなにはっきりと超常現象が起きたのに、それに気付く者はなく…いや、気付いたとしても櫂様が起因とは誰も思わないだろう。
そう思っていた私に、
「な、何だ!? この緑の"力"は…風か!!? どっから!!? 5大元素操れる奴は、何処にいるんだ!!?」
よく通る少年の声が響く。
…力を感じ取れるというのか、この少年は。