シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
その部分は偶然にも赤い模様がついていて、まるで血が流れているような錯覚を起こした。
あたしはそれを櫂の手首に巻きつける。
「人様のもので悪いけれど櫂。これはあたしに流れる血だと思って。いつでも櫂と一緒にいる。あたし達は…必ず繋がっている」
櫂はそれをじっと見つめて…布の切れ端を反対側の手で触り、きゅっと口元を硬く結んだ。
そして――
櫂は…あたしに微笑んだんだ。
「ああ、俺達は共に居る。
芹霞、お前も…負けるなよ」
まだ弱いながらも…その目に闘志が戻ったように思えた。
そう、あたし達は昔からずっと一緒にいるじゃないか。
…負けるもんか。
櫂を助けるんだ、あたしは。
昔も今も!!!!
「うん!!! 一緒に…頑張ろう!!!」
後ろで周涅の揶揄する声が聞こえたけれど、あたしは無視をした。
あまりに稚拙なオママゴトだと――
見るに耐えない滑稽すぎる茶番劇だと――
笑いたいなら笑えばいい。
蔑みたいのなら、蔑めばいい。
判らないやつには判らなくていい。
判って貰いたい奴にだけ判って貰えればいい。
あたし達の絆の強さを。
「櫂!!! 頑張ろうね!!!」
「ああ、1人にさせるが…必ず乗り切れ!!!」
あたしは1人じゃない。
煌も居る。
だから大丈夫。
煌が帰ってきたら――最強の凸凹幼馴染2人で、
こっちからあんたを守るから!!!
それが上手く…伝わればいいけれど。
「じゃあね」
そしてあたしから…背を向けた。
完全に――
櫂達が去る音が聞こえた。