シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「それからさ、気にならないか、櫂。雑魚ばかり使わせる意味」


玲が、目を細めた。


「強者が、出てこないのがおかしい気がする」


緋狭さん。


銀に染まったBR001。


凱と雅。


それから――


「俺達を嵌めた、計都もな」


その力は未知数なれど、俺達を嵌める狡猾な知恵は持ち得ている…謎のオッドアイ。


「……計都?」


「ああ。師匠は意識なかったものね。黄幡計都。ほら、神崎が合コンで携番とか交わした相手」


途端玲の顔が冷たくなる。


「い、言い方間違えた!!! 黄幡一縷の兄貴だよ!!! 氷皇に遣わされたと見せかけて、ボク達を…七瀬の兄貴の術に誘い込んだんだ」


俺は、計都との会話を含め、経緯を簡単に話した。


「……"ディレクター"…あのオッドアイがか…」


玲が何度もその単語を繰り返した。


「櫂、今回の件も、そいつが裏で手を引いていると思うか?」


「無関係ではないだろう。どこまで手を引いているかは判らないが」


しかし――

何故彼が動くのか、その理由が判らない。


判らないことだらけでいるけれど…

とにかく今は、目的地に行き着かねばならない。


「丁度…逗子に入った処だね、急いで向かおう。あと2時間を切った」


一体玲は何を考えているのか。


深く翳った顔つきで、俺達を促し、俺達は駆けた。
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