シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

僕が結界を張ると同時に、櫂の風が迸(ほとばし)るように直線上にそちらに赴いた。

見た目ではダメージがあったのか、なかったのか判別つかない。


依然、マシンガンの音は鳴り響く。



「師匠、紫堂!!! 見ろよ…軍艦、動いてないか!!?」


由香ちゃんが指差した大きな船は…

確かにゆっくりと旋回していて。


「何するんだ? でもここは陸地だし…」


引き攣ったような彼女の声音を掻き消すように、


ドオーーーーンッッ



轟音が耳を襲う。



「な、まさか!!!」


櫂が続けて叫ぶ。


「軍艦が大砲をぶっ放した!!!

玲、万が一に備えて結界を強めろ!!!」



そして櫂は両手を突き出すようにして、緑の…風の力を放出させる。


轟音をたてて2つの手から放たれた光は、互いに捻りあうように1つとなり、明らかに黒い影が差し迫るそれを抑えた。


「――くっ!!!」


緑の光の軌跡。


気合いのような声と共に、櫂の力が砲弾を押し返したように見えた時、



ドオーーーーンッッ

ドオーーーーンッッ

ドオーーーーンッッ


立ち続けに発射されて。



僕も結界解いてそれを抑えようとすれば…



「玲!!! マシンガンは続いているんだ!!!」


どうする!!?


僕は結界を解けないのなら…


その時、緑色の光が徐々に黒い色に染まっていき――


「血染め石の力を使う!!!」


櫂が溜めていた…闇の力を解放させた。


ドオーーーーンッッ

ドオーーーーンッッ

ドオーーーーンッッ


容赦なく砲弾が放たれ、櫂は横の…港にそれを流そうとしているけれど、こんなに一斉に放たれれば1人だけでは負荷が大きすぎる。



その時――



「え!!!?」



驚いた声を上げたのは桜で。



その手の中には――



「裂岩糸!!!?」



桜の…見慣れた糸があり。



「どうして――


――煌は!!!?」



桜は…悲痛な声を上げた。




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