シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


――煌、頼むな。


僕が…僕が、煌に頼んだから。

僕が頼みさえしなければ、煌は……。


後悔が腹の底からわきあがってくる。

どうして僕は、煌を残してこれたのか。


咽喉元の頚動脈が、不安にどくどくと大きい音をたてて脈動しているのが判る。


そして―-

煌がいなければ。


煌が無事に帰ってこれねば。



芹霞が無事に居られるという確率もまた、薄れるんだ。


芹霞を久涅から守れる奴はいなくなる。



全てはお前の帰還を信じてのこと。

皆、それを前提に動いていた。


お前を頼り、信じていたんだ。


お前なら、きっとやり抜いて帰ってくると。



煌――。


お前の信号(シグナル)は、どっちだ?


お前の危機か?


櫂の危機か?



何を伝えようとした――?

< 1,039 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop