シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
今更ながら…女々しいと思った。
だけど桜の申出は、僕がすんなり了承できるものでもなくて。
「桜、それなら此処は僕が…」
「玲様!!! 玲様は桜よりもお強いんです!!!
横須賀に…緋狭様その他、強者が待ち構えていたら…桜よりも玲様の力が、必ず必要になります!!!」
「だけど…」
「玲様。櫂様の為に、共に戦いましょう!!!」
真剣故に、零れ落ちそうな桜の大きな目に。
映る僕は惑い、何処までも悲しみに満ちていて。
ドオーーーーンッッ
ドオーーーーンッッ
「玲様!!!」
僕は…頷いた。
今もこの先も…もしも櫂に待ち受ける危機があったら、
誰かを犠牲にしても櫂を生かせねばならない。
恐らく最後には、緋狭さんも出てくる。
僕達は…確かに此処で足止めを喰らうことは出来なくて。
僕は張り裂けそうになる胸を押さえて、血を吐き出すような思いで叫ぶ。
「桜、頼んだぞ!!?」
「はい!!!!」
それは主従を越えた信頼関係。
どんなに長く共に居ても、何処までも…桜は僕に傅(かしず)いて。
何処までも櫂を信奉して。
その心は揺るがない。
それが昔からの桜のスタイル。
そこにあるのは、桜の決死の覚悟。
だから、僕は…桜を残す。