シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「櫂、由香ちゃん!!! 横須賀へ!!!」


「玲!!!?」


「櫂、時間がないんだ!!! 煌を信じて、あいつは…僕の代わりに"エディター"を安心させたのだと信じて!!!

桜を残して、前に進むぞ!!!」


「師匠!!!?」


「いいか、つべこべ言うな、時間がないッッ!!! 僕達は、誰を犠牲にしても…櫂を守らねばならないんだ!!!!」


僕の叫びに、桜は頷いた。


「櫂様。煌より託された裂岩糸があれば、桜は大丈夫です。

どうか、進んでください!!!」


そしてぺこりと頭を下げた。


「皆様……ご健勝で。


玲様…後はよろしくお願い致しますッッ!!!」


そして桜は前に飛び出した。



ドオーーーーンッッ

ドオーーーーンッッ



「桜!!!!」


追いかけようとする櫂の手を僕は引いて、首を横に振る。


「桜を信じるんだ!!!」



ドオーーーーンッッ

ドオーーーーンッッ



銃弾が…桜の裂岩糸により、切り裂かれる。

刃より鋭い桜の武器は、鋼の…鉄壁と成す。



「紫堂、行こう!!!」


固い顔をした由香ちゃんも櫂に言う。


「君は…皆の思いを胸に、進む義務がある!!!」


櫂は苦しそうに顔を歪めて――


「……桜。必ず生き抜け。

これは…絶対命令だ。

俺には、お前が必要だ」


すると桜はこちらに振り返り、


「はい。しかと…心得ました」


微笑んだ気がした。


無表情の桜が初めて見せた…

柔らかな笑みに――


僕は…やりきれない思いを抱えて、

櫂と由香ちゃんを促した。


桜。



此処は頼んだぞ?




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