シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
非情で温かみを一切感じられない、氷点の境界を感じたんだ。
もし、無理に感情を読み取るとしたら…憎悪。
その類に間違いない。
「双子? いや…三つ子?」
そう聞くと、久涅が笑いだした。
「どうだ、周涅。血の連なるものとされた心地は」
その時の周涅の顔。
あたしは忘れられない。
「最悪だ」
人間…此処まで温度を低めた声を発することが出来るのだろうか。
そして――
赤銅色から暖色が全て抜かれ…残忍な仄暗い光だけを残し、やがてぎらぎらとした剣呑な空気に包まれていく。
それは別人と思える程の変貌で。
思わず身震いしたんだ。
これは誰?
あたしの大好きな紫茉ちゃんの、兄を名乗るこの男は誰?
蒼生ちゃん達と血の繋がりがないのなら、どんな関係?
だけど周涅も久涅も…あたしの質問に答える気はないようで。
謎は一層深まるばかり。
一体何だというんだろう。
あたしは、かなり不審げにじろじろと周涅を見ていたらしい。
「なあに? 周涅ちゃんに惚れちゃったの~?」
突如顔つきを、軽薄のものにがらりと変えて。
何を勘違いしたのか、身を屈めて…あたしの頬に人差し指を突き刺した。
「ははは~。ぷくぷくほっぺ、気持ちいい~」
失礼な!!!
目で睨んでやっているのに、周涅は笑いながら何度も何度も、ぶすぶすと…本当に遠慮無くあたしのほっぺを突っつく。
何だこの、失礼な男は!!!
何だこの変わり様は!!!
あたしの沸点は上がっていく。