シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「待てよ、おいこら!!!!」
小猿くんが飛び跳ねるようにしてすっ飛んできて、隣の部屋に移動させないように、大きく両手を広げた。
「人の家で、好き勝手やるなよ!!!!」
小猿くんの…藍鉄色の瞳が細くなり、激しく久涅を睨みつける。
しかし久涅は表情を変えない。
足を止めたものの、値踏みするような表情があるだけ。
「人の家ってさ~、翠くん…"此処はもう俺ん家じゃない"とかいって、飛び出していかなかったっけ?」
「うるせえんだよ、黙れよ周涅ッッ!!!」
周涅の揶揄を、小猿くんは怒鳴って制する。
「おい!!! お前何なんだよ、紫堂では偉いのかもしれないけど、ここは皇城なんだぞ!!?」
久涅の顔は崩れない。
だけど――
「芹霞を返せ!!! 芹霞は…お前みたいな非道な男が触れていい女じゃないッッ!!!」
その言葉に、突如端正な顔が歪まれ、そして…あたしの手を離したと思うと突如その姿が視界から消え、気づけば小猿くんの咽喉元を手で押さえつけるように床に叩きつけていた。
「小猿くんに…何すんのよ!!!」
久涅の背中を頭突きしたが、まるで揺らがない。
「お前も…奪うのか」
意味不明な言葉を捨てた久涅。
「が…はっ…」
やばい、小猿くんが…。
「全て俺が悪いのか。
俺を…何も知らないくせに!!!」
「あ…あが…っ」
「俺が一体何をした、言ってみろよ、あああ!!?」
キレた久涅が暴走する。
このままでは小猿くんは――。