シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
周涅はにやにやとしてこちらを見て、止める気もないというなら。


小猿くんを救えるのはあたししかなく。


「やめなさいッッッ!!!」


あたしは――久涅の腕に噛み付いた。


思い切り噛み付いたのが功を奏したのか、その手が緩められて。


けほけほと咳を繰り返し、移動できる状態にないらしい小猿くんを、あたしは思い切り蹴り飛ばす。


人間その気になれば何でも出来るらしく、鍛え上げられてもいないこんなヤワな足1本で、小猿くんは見事に吹っ飛んだ。


小猿くんは掠れた甲高い声を上げながら、ごろごろと横に転がっていく。


後ろから聞こえる周涅の拍手。


キッと、笑う周涅を睨みつけ、


「何でもかんでも暴力に頼るんじゃないわよ!!!」


あたしは久涅に向き直って怒鳴った。


「ひゅぅ~ひゅぅ~。勇ましい~」


イラッ。


「そこの赤銅!!! あんたも久涅が友達ならそこで茶化さずに、類友らしくきっちりと止めて見せなさいよ!!!」


「ははは。友達、ね~。友達だって、ははははは。ト・モ・ダ・チ…ウケるな~。あっはっは~」


思い切り馬鹿にしたような笑い方に、あたしの顔は引き攣り…そのまま久涅を見れば、その表情は気味悪いほど冷ややかで。


「ちゃんちゃらおかしくて、笑いたくて仕方がないよ~」


もう爆笑しまくっているくせに、まだ笑う気だ。


腹立たしい!!!


「友達じゃないというなら、どんな関係よ!!!?」


「銭?」


そしてまた、がめつさに定評がある周涅は笑う。


なんなのよ、この赤銅。


「久涅ちゃんや周涅ちゃんを目の前にして、言いたい放題のこの気の強さ…本当に君は緋狭ちゃんの妹だねえ…」


「緋狭ちゃんって気味悪っ…て、そうじゃなく、何よあんたまで緋狭姉の知り合いなの!!?」


まあ…蒼生ちゃんとワケありの関係ならば、その蒼生ちゃんと別称を呼び合う仲の緋狭姉を知っていても、おかしくはないか。


「さあ…どうだろうねえ?」


此処でぼかすか!!!

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