シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
憤慨していたその瞬間、あたしの身体は突然ふわりと宙に浮いて。
「は、離せッッ!!!」
あたしは久涅の肩に担がれていた。
「さあさあ翠くん。お子ちゃまは目の毒、耳の毒。あっち行ってらっしゃ~い。周涅ちゃんはきちんとした成人男性だから、18禁でも20禁でもどんとこい。ふふふ~、久涅ちゃんがどう啼かすのか、た・の・し・み」
「「ふざけんな!!!」」
叫んだのはあたしと小猿くん。
じたばたするあたしを、久涅は完全無視してずんずん歩き、小猿くんは周涅に阻まれる。
やばい。
本当にやばい。
そして久涅が襖を大きく開け放てば。
そこには全裸の御姉様が4人ほど。
もうそれは妖艶な肉体をお持ちの方々で。
ああ、お願いだから…女として"そこ"ぐらいは隠そうよ?
恥らっているのはあたしだけ。
とろりとした美しいお顔で、媚びるように久涅を見ると…やけに色めいて頬を赤く染める。
「久涅さま……」
「久涅さま、お情けを…」
何を望んでいるのか、無知なあたしでも判る。この顔は…"約束の地(カナン)"で久遠に群がった、恍惚としている女達の顔に似ているんだ。
その記憶の…久遠の顔が櫂の顔にすり替わる。
むかむかむかっ。
ああ――
櫂が女ったらしになったようで苛立たしい。
何で櫂の顔してるのよ、この男!!!