シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「や…やだ、やだって……んん!!? や!!!」


思い切り頭を横に振れば、頭を両手で固定される。

その力の強さに、動くことすら出来ない。


櫂の顔で。


こんなことをしないで!!!


あたしの足に割って入る久涅の身体。


あたしの櫂を…穢さないで!!!


「裏切るな」


その声が…櫂のもののように思えて。


櫂が負けるなと言っているように思えて。


口の中に入ってきた舌を、思い切り噛み付いた。


「!!!」


驚いたように…反射的に離れた久涅。


だけどまた、無理矢理鉄味のキスをしてくる。


唇にねじ込もうとする舌を、噛みしめた歯で妨害する。


目を見開いて、相手を睨み付けるように…

食うか食われるかの、必死の攻防戦。


これはキスじゃない。


これはあたしの闘い。


負けたら駄目だ。


あたしは櫂と約束したんだ。


あたしも頑張るから、櫂も頑張れと。


あたしが頑張らなければ、櫂はどうなる?


あたは屈服しない。


櫂の敵には絶対、負けない!!!
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